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『ジャンゴ:繋がれざる者』はマカロニなのか?と言う問題。 

お盆休みも後半戦……。
いかがお過ごしでしょうか?ロッカリアです。

tinytags (9) 奴隷のジャンゴは賞金稼ぎのドイツ人シュルツに拾われ、賞金のかかった三兄弟の顔を教えると、一人に付き75ドル支払うと言う契約をして旅に出る。
目的を達したシュルツだったが、ジャンゴの度胸と腕を見て、冬の間パートナーとして雇う事に。
途中、ジャンゴの妻が、農園の領主カルヴィン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)の所で奴隷として働いている事を知ると、二人は一世一代の大芝居を演じ、キャンディの農園に乗り込んで行くが……。

tinytags (8) 『続・荒野の用心棒』『怒りの荒野』に加えて、エンニオ・モリコーネの曲がいい。
『荒野の1ドル銀貨』『殺しが静かにやって来る』『ホワイト・バッファロー』へのオマージュも、通な人なら見て分かるはず!
フランコ・ネロのカメオ出演もある。(変わらんなぁ、この人!)
奴隷制度と言う、今迄にウェスタンでは取り上げられなかったテーマを、真正面から見据えている。
実は、この奴隷制度が今回のミソなのだが……。
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解体珍書
最初にハッキリ言っておこう。僕はマカロニ世代だ。その昔、頻繁にTVでオンエアされたマカロニを見まっくたし、モデルガンを買って、抜き方、回し方、差し方を友人たちと研究していたとんでもない中学生だった。
プロローグのイントロで、あのアコギが聞こえて来たときにはテンションも上がったが、英語ヴァージョンだと分かると直ぐに下がる。
また、マカロニのサントラを流せばそれなりに見えるが、この映画には、何故かマカロニ独特のムードが無い。
タラちゃんの美学はあるが、マカロニの美学があまり感じられないのだ。
例えばジャンゴが銃を試撃つシーン。
奴隷だったジャンゴがいきなり凄腕のガンマンだったのが変だし、リー・ヴァン・クリーフ的な役のシュルツがいるなら、もっと喰い付いて指導したり駄目だししたり、せっかくの美味しい場面が生きていない。

『荒野の用心棒』で幕を開けたマカロニの歴史(と言ってもいいだろう)は、黒澤監督の『用心棒』をコピーしたから面白かった分けじゃない(勿論、それもあるけどね)。
冒頭、ジョーが5人撃ちするシーンを見よ、ここから伝説が始まったのだ。
5人が一瞬にしてバラバラと倒されるこの快感!
このスタイリッシュなシーンは、西部劇と言われるハリウッド映画にもある事はあったが、次元が違っていたのだ。
或いは、この映画の元ネタ的な『続・荒野の用心棒』のラストでジャンゴが見せた十字架撃ち、『夕陽のガンマン』でC.イーストウッドとR.V.クリーフが見せた帽子の飛ばし合いや、アクロバット撃ちを定着させたジュリアーノ・ジェンマのような動き等々、こう言った楽しくもカッコいい描写がこの映画には無い。

そもそも、マカロニ・ウェスタンほどスタイルに拘った、スタイリッシュな映画ジャンルは類が無いのだよ。
ま、細かい事をここで一々取り上げていたら盆休みが終りそうだから止めるけど、とにかく、「あの」ムードが無いのだ。
また、残酷描写はタラちゃんの得意とするところだが、残酷描写がマカロニの特徴ではない。
ええっ?と思われる人も多いだろうが、残酷描写を取り入れた、と言う所にマカロニのアイデンティティが有るのだ。
どう言う事なのか、簡単に。
この映画の何処にマカロニ・ウェスタンのDNAを感じられるのか?と自問自答してみた。
その答えは、ズバリ奴隷制度にある。
劇中「ニガー」と言う、黒人に対しての最大級の差別用語が飛びまくる。
黒人が黒人に対して「ニガー」と罵る。
実は、このように、今迄あまり触れられる事の無かったタブーに挑戦した姿こそが、マカロニ・ウェスタンだとは言えないだろうか?
マカロニ以前の西部劇は、残酷描写は御法度にも感じられたし、勧善懲悪が大前提だった。
そこへ、人はドンドン殺すは、悪なのか善なのかよく分からない主人公は登場するは、話とは関係の無いガン・プレイをやたら見せるは、レイプシーンはあるはと、様々なタブーとされてきた事を平然と描写して見せたのがマカロニだったでないか。
この、タブーに挑戦し続けたのがマカロニの本質だったと、僕は信じている。
そう言う意味において、この映画もマカロニ・ウェスタンと言ってもいいんじゃないだろうか。
上映時間が約2時間40分。
『ウェスタン』や『夕陽のギャングたち』に肩を並べる長さだが、それもタラちゃんの気合の現れだろう。
この映画を観て、「へ~、これがマカロニ・ウェスタンと言うやつかぁ…」と思った若い人は、これを機に、是非、昔の作品も見て欲しい。
古いウェスタンなんて、ちょっと……と思っている人は、その、固定観念に付いている鎖を、取り払って見て欲しい。
必ずや、今迄に観た事が無い、不思議な世界が待っている事を保証しよう。
と言う事で、本日のオー!ジョーズ・メーターは……。
ジョーズ・メーター4

Category: レビューがはじまる

Thread: 映画レビュー

Janre: 映画

Tag: アクション  イラスト 
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コメント

こちらにもお邪魔いたします

面白かったですよね!オー!ジョーズ・メーターさんに大賛成です。
昔のマカロニ・ウェスタン自体は子供の頃に父親と観ていたなーぐらいの記憶しかないんですが、最近の作品「許されざる者」「3時10分、決断のとき」とかはとてもお気に入りです。あの渋い男の世界に思わず時間を忘れてのめり込んでしまいます(あの時代の早撃ちガンマンに生まれたかった)。
この作品のジャンゴもそうですが、引き金を引かずに銃の上の部分をポンポンっと叩くように撃つのは一体どうやっているんですか?きっとロッカリアさんならご存じのはず。

**TB打たせて頂きます!

momorex #- | URL | 2013/08/17 11:13 [edit]

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