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「ミステリーの女王」アガサ・クリスティのブーム、再来なるか!? 

こんばんは、ロッカリアです。

『オリエント急行殺人事件』のリメイク版、監督にケネス・ブラナーを迎え、アンジェリーナ・ジョリーの出演に代わってシャーリーズ・セロンが選出されるなど、今から話題になっていますが、ここに来て、ビリー・ワイルダーが監督をした傑作ミステリー『情婦』のリメイクも決まったようです。
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こちらは主演も兼ねてベン・アフレックが監督も務めることが正式に決まりました。
両作品の原作は勿論、ミステリー小説の女王アガサ・クリスティによるものです。
1970年代から80年代にかけて、彼女の原作が続けて映画化され公開になりましたが、このリメイクをきっかけに、再び彼女のブームが再燃しないでしょうかね。
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オリエント急行殺人事件 [DVD] ナイル殺人事件 [Blu-ray] クリスタル殺人事件 [Blu-ray] 地中海殺人事件 [Blu-ray] 地中海殺人事件 [DVD] そして誰もいなくなった [DVD]  華麗なるアリバイ [DVD]等々の映画作品に加えて、TVでは現在も放映中の「名探偵ポアロ・シリーズ」があったりと、トリック重視の作風がミステリー・ファンにはたまりませんね。
ただ、小説が映像となった場合、不都合な点が露呈したり、トリックのインパクトが薄れたり、ネタがバレバレだったりと言った演出上の問題が浮き彫りになってしまいますよね。
そもそも、クリスティの場合、原作を読んでいる人も多く、トリックや物語を熟知しているファンもいて、映画化の際はこれらがネックとなって、どうしても評価が厳しくなる使命なんです。
そこで、キャストを豪華にしたりして、スターの看板で劇場に足を運んでもらうと言う手段も考え、『オリエント急行殺人事件』などは当時も大ヒットしましたが、現在ではこの方法も通用しません。(あれほどのスターが、今はいないと思います)
これらを熟知した上で、曲者のケネス・ブラナーや濃い演出が売りのベン・アフレックが、どんな付加価値のある作品に仕上げるのか、今から楽しみです。
ミステリー・ファンとしては、この2作品がミステリーのジャンルを牽引して、本格推理の映画がいっぱい作られると良いなと思っています。
そうすれば、中には傑作の誕生もあるかもしれません。
今のハリウッドは、質より物量の時代ですから。

それにしても、なぜクリスティばかりが愛されるのでしょうか?
もちろん名探偵ポアロの存在が大きいのでしょうが。(ホームズも然り)
個人的んは、エラリー・クィーン、ヴァン・ダイン、ディクスン・カー、チェスタートンやロバート・B・パーカーなどなどの小説が、もっと映像化されても良いと思うのですが……。
僕にはそれが、とっても「謎」です。

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Category: シネマ・エッセイ

Tag: ミステリー 
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『天河伝説殺人事件』ムードだけは満点だ 

こんばんは、ロッカリアです。

1.伝説にインパクトがない
2.犯人、動機、トリックがバレバレ
3「金田一耕助」シリーズの焼き直し



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「天河伝説」とは、奈良県天川村の神社で行われる薪能の夜に、結ばれた男女は幸せにはならないと言うもの。
この伝説が本作の根底にあって、犯行の動機にもなっているが、伝説と言うには弱い気がします。
ここに、少しでも呪いの要素などが加わっていれば、もっとオドロオドロしい伝説になっていたはずだと思います。

また、ミステリー映画としては、致命的なミスを犯している。
それは、「金田一耕助」シリーズに慣れ親しんだ映画ファンなら、配役を見ただけで、犯人の見当が付くし人もいるでしょう。
トリックと言うほどの舞台装置がないのは「浅見光彦」シリーズなので仕方がないが、作品の作りが「金田一」シリーズにそっくりなので、これも物足りなく感じてしまう。
犯行の動機も、中盤あたりでおおよその見当がついてしまう。
それでなくとも市川崑監督は、自身のスタイルを変えないので、どうしても「金田一」シリーズの焼き直しをやっているようにしか見えない。
さらに、惜しくも先頃亡くなられた名俳優の加藤武氏の刑事さん、前半では我慢していたのに、後半でついに「よし、わかった!」と、おなじみのポーズを披露してしまう。
笑いを取るオマージュ的な発想だったかも知れないが、そのまんま、だった。
この作品を中盤あたりまで見て、ある程度の真相が分からなかった人は、もっとミステリー映画を見たり、探偵小説を読んだ方がいいと、偉そうに言っておこう。(←お前、何度もこの映画見てるだろうが…)
「……」

さて、だからと言ってこの映画を見るなと言っているんじゃありません。
映画には色んな見方があって、この作品も、冒頭では衆人環境の新宿での殺人で始まり、あまり知らない「能」という世界を引き合いに出し、タイトルの天川村(神社は天河と書く)を中心に物語が進む、ミステリー映画としてのムードは満点なのだ。

ちなみに、あまり知られていないが、実はこの映画に続編が作られていた、と言う事をご存知だろうか?
『高千穂伝説殺人事件』というタイトルで、予告編まで劇場公開されたのだが、当時、角川春樹の薬物問題でお蔵入りになってしまったのだ。
私はその予告編を実際に見た事がないので、今となっては「都市伝説」なのですが……。

Category: レビューがはじまる

Tag: イラスト  ミステリー 
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『リアル:完全なる首長竜の日』原作とは別物と心得よう 

こんばんは、ロッカリアです。
原作を持つ映画の宿命は、常に原作と比較され、原作よりも良く出来ているのか? 面白いのか? イメージ通りなのか? 等々切りが無いだろう。
しかもこの映画の原作の様に、「このミステリーがすごい!」大賞を受賞したとなると、より一層比較したくなるのが人間の性だろう。
しかし、結局、小説と映画を比べるのは、ナンセンスじゃないのだろうか?と言う気持ちが強くなって来ている。
そんなの当り前じゃないか!と叱咤される人もおられるだろうが、何十年と、この原作と映画の出来具合を比較して来た僕にとっては、この割り切りは結構思い切った選択なのだ。
と言うのも、最近の映画界は、コミックや小説の映像化があまりにも多く、一々比較していたら、それだけで体力を使い過ぎるからだ。(面倒だし…)

▶▶▶自殺未遂で昏睡状態が一年も続いている淳美(綾瀬はるか)の意識の中に、センシングと言う医療技術を使って、幼馴染みの浩市(佐藤健)がコンタクトする。
淳美は昏睡状態の中でも、意識レベルでは漫画家を続けていたが、最近上手く行っていないと浩市に言う。
その昔、浩市のために描いた首長竜のスケッチが見つかれば、全て元通りに上手く行くと信じている淳美のために、浩市が彼女の意識の中を、首長竜のスケッチを巡って彷徨いながら旅をする、と言うのがこの映画のストーリー。
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さて、ここからはネタバレを混ぜながら進めて行かないと何も書けないので、未見の方はそれなりの覚悟をするか、白紙の状態で映画を見たい人や結末を知りたくない人は、絶対先を読まないで下さい。 
冒頭の10分も見れば、浩市の行動に色々疑問が生まれる。その疑問はスグに、「ん?もしかしてこれは…」と言う疑問になり、浩市が走らせる車の背景の合成具合や街の描き方を冷静に判断すると、浩市はある意識の中から抜け出していない、と言う事が容易に想像できる。
そして、その意識の持ち主は、淳美じゃなくて、浩市自身のモノだろうとすぐに分かってしまう。
ところが、それを見る者に悟られてはいけないと、ゴマカシがある。
それは、知らないはずの中谷美紀演じる女医との会話ややり取りだ。
意識不明の状態で病院に運ばれたはずの浩市が、その女医の存在すら知る事は不可能なはずだ。
もう一つ。
自身が漫画家なのに、どうして淳美が漫画家として浩市は考えてしまったのか、混乱と言うキーワードで片付けるのはあんちょこ過ぎる。
この、とにかく真相を隠すんだ的な映像表現には大いに不満を憶えてしまう。
他にも、欠陥と呼んで差支えないシーンがあるが、良い所もあって、淳美が浩市を助けたいと言う強い思いと行動には、常套手段だと分かっていても、やっぱり心を打たれてしまうのだ。

『バニラ・スカイ』を連想させる作りだが、そこまで突き抜けていないし、どこか『インセプション』のような感じもするが、あそこまでエンタテイメントに徹し切れていない、何とも中途半端な印象だ。

表題の『リアル』に拘った演出はあまり感じられず、浩市が描くマンガの世界を、2時間ほど歩かされた、そんな気分の映画でした。

Category: レビューがはじまる

Thread: 映画レビュー

Janre: 映画

Tag: イラスト  ミステリー 
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『情婦』傑作だがタイトルが悪い! 

車で走行中、フォークリフトに突っ込まれ、ホイールにリフトの爪が食い込み、交換する羽目になった、最近ついていないロッカリアです……。

映画や音楽の記事をアップするブログなのに、なぜか最近は自身の不幸ばかり記事にしているような……。
幸い、大きな事故&ケガも無く、相手側がホイール代も弁償する事で決着しました。
事故はまさかの時に起こる、と言う事を実感しました。車に乗っている人は、お互いに気を付けましょうね。

さて、映画映画!
先日ブログの記事で書いた「お家で鑑賞できる100人の映画通が選んだ本当に面白い映画109」と言う本の中でも紹介されていた『情婦』を久しぶりに観ました。
上手い! おもしろい! そして、映画史上においてもこれ以上の物を見た事が無い、大どんでん返しが凄いっ!!!
アガサ・クリスティ原作「検察側の証人」をビリー・ワイルダー監督が映像化。
僕は、現在に至るまで、どんな法廷劇よりも、群を抜いて面白いと思う。
ミステリーなので、詳しくは言えないけど、殺人の容疑で逮捕されるのがタイロン・パワー。
そして、事件の行方を大きく左右する妻の役をマレーネ・デートリッヒが演じている。
デートリッヒは、夫のアリバイを証言して、無実であることを証明しようと、弁護士のウィルフリッドに相談を持ちかけるが、妻の証言は法廷では採用されないと反対、証言者リストからも外されてしまう。
ところが、裁判当日になると、何とアリバイを証明すると言っていた妻が検察側の証人として証言台に立ち、あろうことか、「夫にはアリバイが無く、夫自ら人を殺してきた、と聞かされた。犯人は夫に間違いありません」と証言してしまう。
楽勝ムードで裁判に挑んだウィルフリッドは一変、窮地に立ち、トンデモない事件の顛末に巻き込まれて行く……。

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全く無駄のない演出と、張り巡らされた数々の複線。ミステリー映画として全く隙のない仕上がりを見せる映画は、さすがビリー・ワイルダー監督だ。
が、この映画をただのミステリー映画に終わらせていないのは、太っちょの老弁護士で、心臓病を患っているが、酒と葉巻を止められないで、いつも付添いの看護婦(この二人、実生活では本物の夫婦!)に起こられているウィルフリッドの存在が大きい。
ユーモアと風刺に富んでいて、正義感が強く機転もきく。
僕だけかも知れないが、これはクリスティ作品に登場する、灰色の頭脳を持つエルキュール・ポアロを連想せずにはいられない。
彼、ウィルフリッドは、事件を冷静に判断しながらも、依頼人の無実を晴らそうと奔走する。
心臓が悪いにも係わらず、どこまでも正義と言う思い使命に燃える弁護士像には感動を覚える。
そして、彼が事件のすべてを知った時に放つ言葉は特に印象的で、多くの人の共感を呼ぶはずだ。
この映画を見逃す手はないし、見終わった後に、誰もが映画の凄さを、良い映画とはどう言う物なのかを実感するはずだ。
映画好きな人にこそ見て欲しい、あっと驚く映画です。

ただ、『情婦』と言うタイトルには疑問があるし、ミステリーとしての興味も半減してしまう、と思うのは僕だけだろうか……。

Category: 落書きシネマ

Thread: ミステリー・サスペンス

Janre: 映画

Tag: ミステリー  おススメ  イラスト 
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『日曜日が待ち遠しい!』これ、探偵映画なんです。 

夏バテっす!!!!!
こんばんは、ロッカリアです。

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1983年に作られた、フランソワ・トリュフォーの遺作。自分の死を予感していたのか、彼自身の好きなもので埋め尽くされた映画。

南フランスで小さな不動産事務所で、ジャン・ルイ・トランティニャンに密かに恋心を抱いている秘書のファニー・アルデン。
ところが、この社長が狩猟から帰って来ると、同じ現場でその狩猟仲間がトランティニャンの銃弾と同じ数の散弾で殺されたり、自宅に帰ると妻が殺されていたりと、トランティニャンは完全に容疑者にされる始末。
そこで、秘書のファニーは、彼のために真犯人を突き止めようと、ニースに行ったり、売春婦の姿に変身したりして、素人探偵として行動するが……。
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(この映画を観ると、どうしてもソニー・クラークのアルバムを思い出す)
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ヒッチコック党のトリュフォーが、彼の作風を踏襲しながら、タイプライター、部屋番号813、モノクロ・フィルム、女性の脚、妻のファニー・アルダン、映画のセリフ、舞台劇に映画と、彼が愛して止まないもの全てを注ぎ込んだ遺作。
この作品の翌年、1984年に彼は癌で他界するが、この映画は自身の死を予感した上で撮影されたんじゃないかと思いたくなる。
その根拠は、彼が子供の様に、嬉々としてこの映画を作っている姿が、作品を通して伝わって来るから。
妻のファニーはとても美しく撮られているし、ひたすらヒッチ先生の演出をなぞる事で、何かを生み出そうとしている、そんな風に見えて仕方がない。
『日曜日が待ち遠しい!』と言う、およそミステリーに似合わないタイトルは、劇中ファニーが、「恥ずかしい!」(もちろんフランス語で)と言ったのを、トランティニャンが「待ち遠しい?」と聞き違えたのを、ユゴーの戯曲を舞台で演じていたファニーが、そのセリフをもじって、少し芝居がかった口調で、「日曜日が待ち遠しい!」と言い直したシーンから取られている。
『日曜日はダメよ』或いは『シベールの日曜日』から連想させられる同系列の映画だと、僕は結構長い間、勘違いをしていた事がある。
だから、初めてこの映画を観た時は、その内容に面食らったよ。(←カッコ悪…)
85年に日本で公開された時、双葉十三郎先生が、「ぼくの採点表」でこう語られていたのを改めて読んで、目頭が熱くなったよ。

”トリュフォーは、映画ファンとして死んでいったんだなァ”

ジョーズ・メーター4

Category: 休日は名画座で

Thread: サスペンス映画

Janre: 映画

Tag: イラスト  おススメ  ミステリー 
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