『八つ墓村』 たたりじゃ~!
今日は【金田一耕助登場の映画について】の時間です。
こんばんは、ロッカリアです。
ハイビジョン版の『八つ墓村』を録画したブルーレイで見ました。
『男はつらいよ』シリーズの寅さんこと渥美清が、金田一耕助を演じた作品で、公開当時にはすでに人気が出ていた石坂浩二版の金田一と、比較されることで話題を呼びました。
が、時間が経過するほどに、全5作に渡って金田一を演じた石坂浩二に対して、物量的にも物足りないし、渥美清=金田一と言う強い印象も残せていないように思う。
(クリックで拡大します。↓ )

彼、渥美清がわりを食ってしまった負の要因として2つある。
一つは、この作品の主人公は、あくまでも寺田辰弥役を演じるショーケンこと萩原健一であり、金田一耕助は脇役に甘んじている点だ。
二つ目は、舞台を昭和52年(1977年)と言う現代に設定を変えた事が大きいように思う。
石坂版で大きく金田一耕助の印象を作り上げた(もちろん原作のイメージだが)お釜帽にヨレヨレの着物に下駄履きと言うスタイルをあっさり破棄した決断は裏目に出ている。
で、一体どうしたのかと言うと、現代劇らしくジャケットを身にまとう。(個人的な感じだが、刑事コロンボの感じ、がする)
時折被る麦わら帽子に、金田一のスタイルを見てとる事が出来るが、これはこじ付けにしかならないか……。
これに加えて、作品がミステリーと言う事も、渥美清の本来の個性を消しているのかも知れない。
映画としては、作品を謎解きの趣向よりも、恐怖映画に比重を置いているが、因習、因縁、血縁にまつわる部分の描き方に物足りなさを感じる。
市川崑監督の「金田一シリーズ」は、時に尋常ではない程の血しぶきを過剰演出じゃないのか?と思わせるぐらい観客に見せた。
これは、単純に殺人シーンに凄味や悲惨な印象を与える効果と同時に、因縁や血縁の深さ、繋がりと言ったものを、大量の血を見せる事で植え付けようとしたんだと思っている。
『八つ墓村』では、多治見要蔵が猟銃と日本刀で、村人32人を惨殺するシーンに象徴されていると思うが、直接的ではなく、間接的にそう思わせた市川崑監督の方が、横溝文学のキーワードを解いて見せてくれたように思う。
何だかけなしてばかりになったけど、決してつまらない駄作ではない、と言う事を強調しておきたい。
例えば、オープニングで八人の落武者が山の上から八つ墓村を見下ろすシーンと、ラスト近くに、これと同じカットのシーンがある。
同じシーンなのに、最初と最後で、これほど見る側の感情に変化を与え、心を揺さぶるシーンの演出は、さすが野村芳太郎監督である。
ミステリーとして見るか、恐怖映画としてみるか、この映画はそこで評価が分かれるだろうが、未見の人がいるとしたら、一度は見る事をおススメします。

こんばんは、ロッカリアです。
ハイビジョン版の『八つ墓村』を録画したブルーレイで見ました。
『男はつらいよ』シリーズの寅さんこと渥美清が、金田一耕助を演じた作品で、公開当時にはすでに人気が出ていた石坂浩二版の金田一と、比較されることで話題を呼びました。
が、時間が経過するほどに、全5作に渡って金田一を演じた石坂浩二に対して、物量的にも物足りないし、渥美清=金田一と言う強い印象も残せていないように思う。
(クリックで拡大します。↓ )

彼、渥美清がわりを食ってしまった負の要因として2つある。
一つは、この作品の主人公は、あくまでも寺田辰弥役を演じるショーケンこと萩原健一であり、金田一耕助は脇役に甘んじている点だ。
二つ目は、舞台を昭和52年(1977年)と言う現代に設定を変えた事が大きいように思う。
石坂版で大きく金田一耕助の印象を作り上げた(もちろん原作のイメージだが)お釜帽にヨレヨレの着物に下駄履きと言うスタイルをあっさり破棄した決断は裏目に出ている。
で、一体どうしたのかと言うと、現代劇らしくジャケットを身にまとう。(個人的な感じだが、刑事コロンボの感じ、がする)
時折被る麦わら帽子に、金田一のスタイルを見てとる事が出来るが、これはこじ付けにしかならないか……。
これに加えて、作品がミステリーと言う事も、渥美清の本来の個性を消しているのかも知れない。
映画としては、作品を謎解きの趣向よりも、恐怖映画に比重を置いているが、因習、因縁、血縁にまつわる部分の描き方に物足りなさを感じる。
市川崑監督の「金田一シリーズ」は、時に尋常ではない程の血しぶきを過剰演出じゃないのか?と思わせるぐらい観客に見せた。
これは、単純に殺人シーンに凄味や悲惨な印象を与える効果と同時に、因縁や血縁の深さ、繋がりと言ったものを、大量の血を見せる事で植え付けようとしたんだと思っている。
『八つ墓村』では、多治見要蔵が猟銃と日本刀で、村人32人を惨殺するシーンに象徴されていると思うが、直接的ではなく、間接的にそう思わせた市川崑監督の方が、横溝文学のキーワードを解いて見せてくれたように思う。
何だかけなしてばかりになったけど、決してつまらない駄作ではない、と言う事を強調しておきたい。
例えば、オープニングで八人の落武者が山の上から八つ墓村を見下ろすシーンと、ラスト近くに、これと同じカットのシーンがある。
同じシーンなのに、最初と最後で、これほど見る側の感情に変化を与え、心を揺さぶるシーンの演出は、さすが野村芳太郎監督である。
ミステリーとして見るか、恐怖映画としてみるか、この映画はそこで評価が分かれるだろうが、未見の人がいるとしたら、一度は見る事をおススメします。

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