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『薔薇の名前』 シネマ・サーフィン~10~ 

今日は【ブルーレイで見た映画】の時間です。

こんばんは、ロッカリアです。
この映画に関して、前もって言っておかなければならない事が。
まず、原作の小説と、本作は全く別物である、と言う前提で話を進めて行かなければならない。
何故なら、原作の目的と、映画の目的、言い換えるなら視点が違うからだ。
これは、原作を基本とする映画にとっての宿命だが、この作品に関しては、その事が顕著に表れている。
原作の持つスピリットは?
目的は?
メッセージは?と、この原作の熱烈な読者に批判覚悟で言うならば、映画自体は純粋なミステリーとして語って行きたい。

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修道院と言う閉ざされた環境で、一人の修道僧の命が絶たれた。バスカヴィルのウィリアム(ショーン・コネリー)とメルクのアドソ(若き日のクリスチャン・スレーター。彼の回想録と言う形で物語は進んで行く)は修道院に到着早々にこの事実を知る。(ウィリアムの本来の目的は、当時「清貧論争」と呼ばれた、フランシスコ会とアヴィニョン教皇庁のあいだの論争に決着を付ける会談を調停し、手配することにあった)
修道院側は、この出来事を悪魔の仕業だと捉えていた。
と言うのも、死んだ修道僧は、窓の無い図書館塔から飛び降りたか、落下して死んでいたからだ。
だが、洗練された知能と観察力の持ち主ウィリアムは、謎の真相を解き、自殺だと言う事を突き止める。
これが事件の発端だ。
何故なら、どうして修道僧は自殺しなければならなかったのか?と言う疑問が浮かび上がるからだ。
調査に乗り出したウィリアムとアドソだったが、その矢先に殺人事件が起こる。
これが黙示録の一節と合致し、見立て殺人が幕を開ける。
事件は第2第3と、連続殺人事件に発展。
何故かユーモアに嫌悪感を抱く修道院、罪なき人々を神の名のもとに処刑する異端審問官、迷路のような、閉鎖された文書館、アドソと少女の恋……。
全てがジグソーパズルのピースのようにちりばめられ、それをウィリアムは一つ一つ拾い上げ組み合わせて行く。
これは、あっと言う間の2時間10分、ミステリー映画史上に名を残す名作だ。

バスカヴィルのウィリアム、と言うイメージからも連想できるように、これはホームズとワトソン役の定番ミステリーでもある。
そのウィリアムは、古い考え、謎を次々と打破して行くが、彼の持っている老眼鏡こそが、この世界において、知の象徴として扱われている。
余談だが、冬の寒さ厳しい修道院が舞台とあって、そのリアルさを伝えるために主演の二人は勿論、キャスト全員が下着を一切着用しないで撮影に臨んだエピソードは有名だ。
よほど過酷だったのか、これには主演のショーン・コネリーも「二度と出たくない映画」と後に振り返っている。
さて、
ミステリーの王道だろうと思うこの作品のタイトルが、実は今も明かされない最大のミステリーだろう。
『薔薇の名前』とは、劇中、一体何を表しているのか?
これには色んな憶測、解釈があって、「薔薇の名前」とは何か&「薔薇の名前」と普遍論争(ウィキペディア参照) をクリックして貰えれば良いと思うが、記号論哲学者としての面目躍如と言う所だ。
その、所説ある中、僕は単純にこう思う。
バラとは、やはり生涯一度だけ恋をしたアドソの名も無き相手。
ゴミをあさって、顔や手を真っ黒に汚し、着ている服はボロボロ、食糧を得るために自身の身体を捧げてみじめな生活を送ってはいるが、身分や服装、見た目に関係無く、体を一つにして愛し合った女性こそがバラであり、他の物を圧倒する輝きを放っている。
しかし、アドソはその愛した女性の名を知る事も許されない修道僧の立場。
彼は、彼女の名前は、一体何と言うのだろうか……、そう思いをはせる事で、生涯に渡り、彼女に恋をしていたんじゃないだろうか……。
「その考えは、ミステリーにおいてはロマンティック過ぎるだろう」
その通りだと思うが、その声に、僕はあえて反論はしない。

コホン、すぐに話が脱線するのが悪い癖だな。
最後に、映画はミスエリーの王道を行く作品で、時代を中世にまでさかのぼった事により、ある意味閉鎖的空間が生み出され、最後まで緊張感が続く一級のミステリーだと断言しておこう。
秋の夜長にはピッタリの映画だ。


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Category: 特集

Thread: 心に残る映画

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