『本陣殺人事件』、金田一さん、間違ってます!
今日は【ミステリー邦画】の時間です。
こんばんは、ロッカリアです。
この映画、意外だろうが面白い。
しかも、プロローグとエンディングが同じ場面に通じていると言う、好きな人にとってはたまらない映画だ。
市川崑監督の金田一シリーズだが、僕はこの映画を観た瞬間から、実はこのATG作品にかなり影響されていたんじゃないだろうか、そんな思いが脳裏に浮かぶほど、この映画は金田一ミステリーの原型だと言っても過言じゃない。
確かに、謎解きの場面、時間軸の歪曲など、ATGだなぁ、と思う個所もあるが、市川崑のタイポグラフィを冒頭で使い、東宝のロゴマーク、監督市川崑、と続けてクレジットして始まっても、何の違和感もない、紛れも無い横溝ミステリーなのだ。
ただ、あの一点を除いては、の話だが……。

あの一点、と言うのは、すでにご存じの方も多いと思うけど、中尾彬が演じる金田一耕助のヒッピー・スタイルにある。
ジーパン姿の金田一耕助ってのは、どうなの?
そんな気持ちでこの映画を見始めたが、絶対許せない、と言う感じもしなかったし、この映画が作られてから歳月が流れたせいなのか、逆に、中尾彬がオカマ帽に着物姿で登場!の方が違和感があるように思う。
いくら古典的な小説が原作で、何度も映像化されている有名なトリックでも、未読未見の人もいると思うので、知らない人はここからは読んじゃダメ!
ネタバレ↓
この作品の中で、2つ大きなミスを犯している。
それは、琴の糸が切れ、木がしなり、刀が地面に突き刺さる音を消すために、一柳賢蔵(田村高廣)が琴をかき鳴らす場面。
これはあり得ない。
段取りが合っていない。刀が外の時は、その刀ですでに賢蔵は死んでいるはず、有り得ない。
もう一つは、あそこまで現場が血の海になっているのだから、刀にも相当の血が付着しているだろうし、血の海をズルズルと引きずられるのだから、血の道筋が畳の上、屏風、或いは廊下にまで滴が落ちているはず。
この辺の演出は、TV版の『本陣殺人事件』の方が上手く処理をしていた。
ま、TVにしろ、原作にしろ、トリックに関しては常に物議を呼ぶ宿命であり、それがファンにはたまらないのだが、演出的ミスはご遠慮願いたい。
たまらないと言えば、この映画の中でも触れているが、ガストン・ルルーの密室小説の傑作、「黄色い部屋の秘密」に挑戦状を叩き付け、真っ向勝負を挑んでいるのも面白い。
また、ミルンの「白い僧院の殺人」などにもよく見られる、「雪の上の足あと」のトリックも使って、ミステリー・ファンにはたまらない。
ネタバレ解除!
舞台設定を、小説の1937年から、1975年当時に置き換えたが為に、金田一耕助はジーンズ姿になってしまったワケだが、1977年に作られた『八つ墓村』で、同じ過ち(?)を繰り返している。
それは、渥美清が演じた、サファリ・ルックの金田一耕助で、こちらもその見た目の変化に、金田一ファンからは冷たい目で見られた。
だが、よく考えて欲しい。
着物姿の金田一が活躍した映画、リメイク版の『八つ墓村』(1996)、『悪魔が来たりて笛を吹く』(1978)、『悪霊島』(1981)と、どの作品も不発に終わっている。
唯一、TV版で何作も金田一を演じた古谷一行が認められているが、それは、別物だが良く出来ているし、好感が持てる、と言うモノだろう。
何と別物なのか?
それは、市川崑のシリーズであり、石坂浩二が演じた金田一耕助である事は、誰も否定できないだろう。
このシリーズ5作品がある限り、もはや誰が演出しても、誰が金田一を演じようとも、別モノ扱いになってしまう。
そう言う意味において、この『本陣殺人事件』を面白いと言えるのだ。
じゃあ、渥美清の『八つ墓村』と、この映画、どっちが面白いかと聞かれれば、僕はこの『本陣殺人事件』だと思う。
え? ウソだろう? ですって?
いいえ、「ホンシン」です。
こんばんは、ロッカリアです。
この映画、意外だろうが面白い。
しかも、プロローグとエンディングが同じ場面に通じていると言う、好きな人にとってはたまらない映画だ。
市川崑監督の金田一シリーズだが、僕はこの映画を観た瞬間から、実はこのATG作品にかなり影響されていたんじゃないだろうか、そんな思いが脳裏に浮かぶほど、この映画は金田一ミステリーの原型だと言っても過言じゃない。
確かに、謎解きの場面、時間軸の歪曲など、ATGだなぁ、と思う個所もあるが、市川崑のタイポグラフィを冒頭で使い、東宝のロゴマーク、監督市川崑、と続けてクレジットして始まっても、何の違和感もない、紛れも無い横溝ミステリーなのだ。
ただ、あの一点を除いては、の話だが……。

あの一点、と言うのは、すでにご存じの方も多いと思うけど、中尾彬が演じる金田一耕助のヒッピー・スタイルにある。
ジーパン姿の金田一耕助ってのは、どうなの?
そんな気持ちでこの映画を見始めたが、絶対許せない、と言う感じもしなかったし、この映画が作られてから歳月が流れたせいなのか、逆に、中尾彬がオカマ帽に着物姿で登場!の方が違和感があるように思う。
いくら古典的な小説が原作で、何度も映像化されている有名なトリックでも、未読未見の人もいると思うので、知らない人はここからは読んじゃダメ!
ネタバレ↓
この作品の中で、2つ大きなミスを犯している。
それは、琴の糸が切れ、木がしなり、刀が地面に突き刺さる音を消すために、一柳賢蔵(田村高廣)が琴をかき鳴らす場面。
これはあり得ない。
段取りが合っていない。刀が外の時は、その刀ですでに賢蔵は死んでいるはず、有り得ない。
もう一つは、あそこまで現場が血の海になっているのだから、刀にも相当の血が付着しているだろうし、血の海をズルズルと引きずられるのだから、血の道筋が畳の上、屏風、或いは廊下にまで滴が落ちているはず。
この辺の演出は、TV版の『本陣殺人事件』の方が上手く処理をしていた。
ま、TVにしろ、原作にしろ、トリックに関しては常に物議を呼ぶ宿命であり、それがファンにはたまらないのだが、演出的ミスはご遠慮願いたい。
たまらないと言えば、この映画の中でも触れているが、ガストン・ルルーの密室小説の傑作、「黄色い部屋の秘密」に挑戦状を叩き付け、真っ向勝負を挑んでいるのも面白い。
また、ミルンの「白い僧院の殺人」などにもよく見られる、「雪の上の足あと」のトリックも使って、ミステリー・ファンにはたまらない。
ネタバレ解除!
舞台設定を、小説の1937年から、1975年当時に置き換えたが為に、金田一耕助はジーンズ姿になってしまったワケだが、1977年に作られた『八つ墓村』で、同じ過ち(?)を繰り返している。
それは、渥美清が演じた、サファリ・ルックの金田一耕助で、こちらもその見た目の変化に、金田一ファンからは冷たい目で見られた。
だが、よく考えて欲しい。
着物姿の金田一が活躍した映画、リメイク版の『八つ墓村』(1996)、『悪魔が来たりて笛を吹く』(1978)、『悪霊島』(1981)と、どの作品も不発に終わっている。
唯一、TV版で何作も金田一を演じた古谷一行が認められているが、それは、別物だが良く出来ているし、好感が持てる、と言うモノだろう。
何と別物なのか?
それは、市川崑のシリーズであり、石坂浩二が演じた金田一耕助である事は、誰も否定できないだろう。
このシリーズ5作品がある限り、もはや誰が演出しても、誰が金田一を演じようとも、別モノ扱いになってしまう。
そう言う意味において、この『本陣殺人事件』を面白いと言えるのだ。
じゃあ、渥美清の『八つ墓村』と、この映画、どっちが面白いかと聞かれれば、僕はこの『本陣殺人事件』だと思う。
え? ウソだろう? ですって?
いいえ、「ホンシン」です。
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