『未来世界』、 『ウェストワールド』その後…。

レジャーランドのロボットたちが狂い出し、ゲストを殺戮した大事件を描いた傑作SF映画『ウェストワールド』の正当な続編、のはずだが、何故か再建を図ったデロスランドの真の目的は、世界の要人を招待して、その人物のクローン・ロボットを作り、世界征服を目論むと言った、まるで『007』の悪の組織スペクターのような犯罪組織になっている。
現時点からこの映画を見ると、ロボット工学の著しい発達があったにせよ、人間の代わりが出来るほどの完成度には至っていないわけで、その世界征服実現は絶対無理だよなぁ……と思いつつも、そこは70年代ムービー、力技で最後まで楽しませてくれるのだ。(恐るべし…)
公開当時(1976年)、この映画の批評はかなり厳しいものだった。
それは続編の持つ宿命だと言えるが、今見ると、そんなに悪く無いのだ。
新聞記者のピーター・フォンダは、ウェストワールドの事件を乗り越えて、再建を目指すデロスランドの事で、秘密を話したいと言ってきた男からコンタクトを求められるが、その場所に行ってみると、男は何者かに殺されてしまった。
デロスランドには何か大きな秘密があると睨んだピーターは、有名になった元パートナーの女性TVキャスター、ソックスと共にデロスランドに取材へ。
以外にも二人は、デロスランドの舞台裏まで取材が許されるが、そこで働く人々の殆どがロボットである事に驚かされる。
ピーターは極秘で取材を続けるうちに、修理工のハリーと知り合い、デロスランドが世界の要人をロボットとすり替え、世界征服を企んでいる事を突き止めるが……。
前半の少し間延びした展開は、70年代の特徴とも言えるが、後半に入ってからの、クローン・ロボット対本人の対決は見応えあるし、僕の脳裏に、巨大施設の裏側と言えば、地下道に張り巡らされた無数の配管や配線がイメージとして残っているのだが、どうやらこの映画が原因かも知れない。
少し面白いシーンが、ソックスの夢を視覚化する装置のモニターを皆で見ている所。
その夢に注目していると、そこに『ウェストワールド』の殺人マシーン、ガンスリンガーのユル・ブリンナーが登場。
ソックスを追いかける。
皆がハラハラしていると、なんと最後には仲良くなってベッド・イン……。
結構熱いラブ・シーンに……(おいおい…)。
世界征服と言う壮大な計画なのに、ラストの軽さと言えば、「そ、それでいいのか?」と突っ込みたくなる。
もし、この映画を、70年代の深夜のTV洋画劇場で見たとしたら、傑作だと勘違いしたかも知れない、そんな映画だ。
レンタルがあれば一度見ておくのをおススメするが、¥3000も出してDVDを買い、観るほどの映画か?と聞かれれば、ん~、難しい質問だなぁ。
今回僕は、¥300でかった中古のLDで見たんだけど、画質の良さ、と言う点ではDVDを買って観直したい気持ちがある。
僕がクローン・ロボットを手に入れたら、勿論僕に代わって仕事をさせるだろう。
そして家で、ずーっと映画を見ているに違いない。
ただ、その逆も有り得るよなぁ……。