あえて『犬神家の一族(2006)』を見る。
こんばんは、ロッカリアです。

「恐ろしい偶然が、何度も何度も重なってしまったんです」
このたび重なる偶然を、その場その場で機転を利かせ、真犯人の特定をさせなかった事が、事件の謎を深めて行く……。
横溝正史は、この小説において、あまりにもトリックにこだわり過ぎた為、最大のミスを、犯人の心理面で犯している。
まず、犯人が犯す最初の殺人。佐武を殺した犯人が、次の日、別の場所(菊人形)で、しかも作為的に、より残酷な形で何者かが動かした首を見る事になる。
当然だれかに殺害現場を見られた、と思うと同時に、誰が何の目的か?と考えただけで、以後の殺人を実行するものだろうか?
誰かが、犯人である自身の事を知っているのに。
しかも、第二の犯行も同様な形で実行されるのだ。
いくら遺産目当てだろうと、この真犯人の行動は実に不自然と言えないだろうか……。
だが、残念な事に、そんなあら捜しなんてどうでもいい、と思ってしまうぐらいこの映画は面白いのだ。
しかも、今回は市川崑監督の懐の深さを痛感してしまった。
この映画を劇場で一回、DVDを買って2回見たが、不覚にも、1976年版、つまりオリジナルとどこが違うのか?同じなら作る必要が無いので……。
そこまでブログで言っておきながら、今回の視聴で撤回する事になろうとは……。
( ↓ クリックすると…… ↓ )

せっかくスクリーンを新調したんだから、4:3のオリジナルより、HD版の2006年版を見よう、単純な動機だった。
ところが、画面が比較的大きくなると、全体を見ていた時と違い、役者さん一人ひとりの演技がよく見える。
同じ脚本とカメラワークで、オリジナルを超えるなんて……、そう思っていた自分が馬鹿に見える。
この映画を製作する際、市川監督は記者会見で、「今ならもう少し上手く撮れると思った…」と言っていた。
この2006年版で明らかに違う所がある。
それは、犬神佐清と野々宮珠世の愛の絆がとても深く描かれている。

佐清と母との愛情も深みを増している。
そして何よりも、犬神佐兵衛の怨念にも似た空気感が、作品全体作品全体を包み込んでいて、金田一が最後に犯人に言った、「あなたは犬神佐兵衛がやりたかった事を、自らの手でやってしまったんですよ!」と言う言葉にも重みが出ていた。

市川崑監督がやりたかったこと。
それは、同脚本で、どこまで深みが出せるのか?と言う挑戦だったのではないだろうか。
もしそうなら、その挑戦は間違いなく成功している。
ただ、ラストはオリジナルの方が好きだ。
2006年版は、何だか市川監督が、金田一耕助を通して、僕たちに最後のお別れを言っているように見えるからだ……。

もう、『迷路荘の惨劇』、『仮面舞踏会』や『悪霊島』、『八つ墓村』の市川ヴァージョン(1996年に映画化されてます…( ̄◇ ̄;))をいつの日か見たい、と言う願望は、叶わぬ夢になってしまったんだなぁ……。

「恐ろしい偶然が、何度も何度も重なってしまったんです」
このたび重なる偶然を、その場その場で機転を利かせ、真犯人の特定をさせなかった事が、事件の謎を深めて行く……。
横溝正史は、この小説において、あまりにもトリックにこだわり過ぎた為、最大のミスを、犯人の心理面で犯している。
まず、犯人が犯す最初の殺人。佐武を殺した犯人が、次の日、別の場所(菊人形)で、しかも作為的に、より残酷な形で何者かが動かした首を見る事になる。
当然だれかに殺害現場を見られた、と思うと同時に、誰が何の目的か?と考えただけで、以後の殺人を実行するものだろうか?
誰かが、犯人である自身の事を知っているのに。
しかも、第二の犯行も同様な形で実行されるのだ。
いくら遺産目当てだろうと、この真犯人の行動は実に不自然と言えないだろうか……。
だが、残念な事に、そんなあら捜しなんてどうでもいい、と思ってしまうぐらいこの映画は面白いのだ。
しかも、今回は市川崑監督の懐の深さを痛感してしまった。
この映画を劇場で一回、DVDを買って2回見たが、不覚にも、1976年版、つまりオリジナルとどこが違うのか?同じなら作る必要が無いので……。
そこまでブログで言っておきながら、今回の視聴で撤回する事になろうとは……。
( ↓ クリックすると…… ↓ )

せっかくスクリーンを新調したんだから、4:3のオリジナルより、HD版の2006年版を見よう、単純な動機だった。
ところが、画面が比較的大きくなると、全体を見ていた時と違い、役者さん一人ひとりの演技がよく見える。
同じ脚本とカメラワークで、オリジナルを超えるなんて……、そう思っていた自分が馬鹿に見える。
この映画を製作する際、市川監督は記者会見で、「今ならもう少し上手く撮れると思った…」と言っていた。
この2006年版で明らかに違う所がある。
それは、犬神佐清と野々宮珠世の愛の絆がとても深く描かれている。

佐清と母との愛情も深みを増している。
そして何よりも、犬神佐兵衛の怨念にも似た空気感が、作品全体作品全体を包み込んでいて、金田一が最後に犯人に言った、「あなたは犬神佐兵衛がやりたかった事を、自らの手でやってしまったんですよ!」と言う言葉にも重みが出ていた。

市川崑監督がやりたかったこと。
それは、同脚本で、どこまで深みが出せるのか?と言う挑戦だったのではないだろうか。
もしそうなら、その挑戦は間違いなく成功している。
ただ、ラストはオリジナルの方が好きだ。
2006年版は、何だか市川監督が、金田一耕助を通して、僕たちに最後のお別れを言っているように見えるからだ……。

もう、『迷路荘の惨劇』、『仮面舞踏会』や『悪霊島』、
| h o m e |