10 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.» 12

シネマの自由時間

伝えたい映画と音楽があります!

 

INFORMATION!




 ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★ 

▶︎4月のNHK-BS「プレミアムシネマ」の映画カレンダーはここから見られます。


『八つ墓村(1996年版)』木は森に隠せ、犯人は… 

こんばんは、ロッカリアです。

007さんから『八つ墓村』の市川崑ヴァージョンって、トヨエツ=金田一の奴だよと言われ、ああ!そうでした!と……。
そろそろボケが始まったんじゃないだろうか……(元からだろうが…)。
で、急遽、そのDVDを取出し見る事に……、おや?このDVD封も切ってないぞ……。
と言う事は、劇場で一回、たしかTVのオンエアで見た事もあるからこれで3回目の視聴か……。

Evernote Snapshot 20121106 210718

結果……、残念過ぎる。

小説を読んだ時の事はすでに忘却の彼方、去年見た野村芳太郎版『八つ墓村』ならまだ覚えているので、同じ原作と言う事で比較してみよう。
まず、この犯人は冒頭で大きなミスを犯してしまった。
寺田辰哉が神戸で暮らす下宿に、切手も貼らない脅迫状が郵便受けに投函されているが、これじゃあ、ラストで金田一が指摘するまでもなく、この時、遺産相続に関係する人物もしくは、近親者が八つ墓村にいない事実を突き止めれば簡単に犯人が特定できたはずだ。
物語の半ばでこの手紙を辰哉から見せられているのに、この事にもっと早く気が付けば、少なくとも3~4人の命は助かったはずなのだ。
その意味を、冒頭に市川版ではあからさまに露呈しているのだ。(しかも露骨に)

また、遺産相続に関するミステリー映画は必ずオールスター・キャストなのには理由がある。
野村版には、ショーケンこと萩原健一、小川真由美、山本陽子、市原悦子、中野良子、藤岡琢也、井川比佐志、山崎努と言った、文字通り誰が犯人でもおかしくない俳優陣なのに対して、市川版は、浅野ゆう子、岸辺一徳(しかも三役!)萬田久子、岸田今日子(小竹・小梅(二役))、宅麻伸、喜多嶋舞と言った面々で、こじんまりしている。(脇役陣はいいんだけどね)
木は森に隠せと言う常套句があるように、犯人は豪華俳優陣の中に隠せ!だと言う事ではないのだろうか。(もちろん、映画の話題性を高める効果もあるけど)
サファリルックの渥美清=金田一も賛否両論あったが、トヨエツ=金田一は、明らかに石坂浩二のコピーだ。
これはおそらくトヨエツ本人がどうこうと言うより、市川監督の演出に違いない。(それだけ市川崑は石坂=金田一を愛しているのだ)

また、野村版は、後半殆ど恐怖映画のような演出になっていたが、今から考えるとこれはこれで良かったのかも知れない。
と言うのは、32人殺しと言う最凶の犯罪を見せられては、ミステリーと言うより、恐怖心をかなり植えつけられたからだ。
そこで、鍾乳洞のシーンが生きてくるわけだが、市川版は、鍾乳洞のシーンに重点を置いていない。
これは単に予算の問題かも知れないが、せっかくの見せ所が勿体ないような気がする。

決定的な違いの一つに、サウンドトラックを付け加えたい。
音楽に芥川也寸志を配した野村版と違い、市川版はラストに小室等の唄が流れるに留まっている。
これは時代のせいかもしれないが、「道行のテーマ」は深く心に刻まれている。

ラストはヒドイ!!!
文句を言いながらも、こじんまりとした作品だが、それなりに最後まで楽しめるのだが、ラストは尻切れトンボ。
情緒たっぷりのエンディングとは真逆のもので、まるで、市川監督は編集の際に、あまりの不出来に嫌気がさして、投げ出したかのような終わり方だ。
まさかと思われる方は、自身の目で確かめて見るといいだろう。
このラストが、僕の中では我慢できないぐらいに、作品の評価につながっている事を思い出した。
昭和の5作品とは、明らかに違う金田一映画だと言える。

この作品こそ、「たたりじゃ~っ!」と言いたい……。

スポンサーサイト



Category: レビューがはじまる

Thread: サスペンス・ミステリー

Janre: 映画

Tag: ミステリー 
tb 1 : cm 4