『華麗なる賭け』 その賭けとは何か?

こんばんは、ロッカリアです。
大富豪のトーマス・クラウンは、金で雇った男たちをチェスのコマのように使い、まんまと銀行から大金を奪う事に成功する。
これは、大富豪のトーマスの犯罪だとバレたら、彼の人生は終わりを告げるだから、この時点で彼の賭けは成功したのだ。
ところがそこに、フェイ・ダナウェイ扮する保険調査員ビッキー・アンダーソンが現れ、黒幕はトーマスでないかと彼に接近する。
親しくなった二人は、トーマスの屋敷でチェスを始めるが、明らかにビッキーはトーマスを挑発、彼はチェスどころではなくなる。
このシーンは、その後の展開を見ても明らかなようにビッキーの勝ち、つまり容疑者に近づくと言う賭けに勝ったのだ。
二人の中は深まるが、トーマスはもう一度同じ手口で銀行を襲うと宣言し、自分の人生を賭け、ビッキーとの愛が本物なのかを賭けるのだが……。
もちろんこれは、邦題『華麗なる賭け』に由来し、僕が無理矢理「賭け」にこだわった解釈をしてみたんだけど、この邦題も、ラストでトーマスは、ビッキーの所に現れるのか、否か!?と言う場面から導き出されているんだろうなぁ…と思っていた。
でも、再見(何回目だろう、この映画を見るのって…)してみて分かったんだけど、「賭け」と言うより、男女の「駆け引き」をメインに描かれているんだよ。
だから、『華麗なる駆け引き』って言うタイトルが正しいと思うんだけど、こんなタイトルじゃ誰も観に行かないよなぁ。
スティーブ・マックィーンとフェイ・ダナウェイが共演して、大富豪の銀行強盗と保険調査員の間に、どんな『華麗なる賭け』が展開するのか?って想像させられるこの邦題は、やっぱり上手いとしか言いようがないねぇ……。(アッパレ!)
でも、原題も良いんだよ。
『トーマス・クラウンの犯罪』『トーマス・クラウンの情事』の両方にかかるアフェアと言う単語が、明快に作品の内容を表しているもんね。
しかし、僕の勝手な解釈では、エンディングのシーンから判断して、この映画に『賭け』は無く、最初から最後までトーマスの独り勝ちのような気もするんだけどね……。
(↓シャーペン一本で描きました)


この映画、先にも記したけど、この歳になるまで一体何回ぐらい見ているだろうか……。
それなのに、それなのに……だ。
アメリカの監督によって、アメリカの俳優を使って、ボストンと言うアメリカの地で撮影されたのに、何処をどう取ってもヨーロッパ・テイストの映画、いや、ヨーロッパ映画そのものだ!と断言してもいいぐらい、今回は全く感じの違う作品に見えたんだ。
古い街並みや路地裏、そこに優しい雨が降り、カモメが飛び交う晩秋の海辺をバギーで疾走、まるで『男と女』のワンシーンのように切り取って見せる……。
ただ、これだけじゃない。
この映画をそう感じさせる大きな要因は、サウンド・トラックを担当したミッシェル・ルグランの功績が大きい。
主題歌の「風のささやき」は英語なのにフランス語のようにささやくし、今回一番驚いたのが、劇中の流れる音楽の数々で、強盗シーンに流れるトラックなんて、まるで『黄金の七人』か?と思うぐらいだ。
今度この映画を見る時は、音楽に注意して見るといいよ。
そして、後から知ったんだけど、その銀行を襲撃するシーン、実際の銀行でロケが行われたんだけど、この時実際に来ていたお客さんには映画の撮影と言う事を一切知らせずに、カメラを隠して撮影したんだって!
だから、周囲の人たちのリアクションは、実際の強盗だと思った、リアルなアクションだったんだよ。
今じゃ考えられん!!!!
その見事なリアクションは、スプリット・スクリーンと言う手法で画面に登場。
簡単に言えば分割画面ね。
今じゃTVの「24」シリーズにも使われる定番だけど、当時は画期的な画面で、かなりの話題になったんだよ。
この映画をヨーロッパ映画と言っちゃったけど、本当にそう見えるんだよ。
ウソだ~っ!と思っているそこの人、なんなら僕と賭けてみる!?
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