『レガシー』ハッピーorアン・ハッピーエンド?

こんばんは、ロッカリアです。
キャサリン・ロスが大々的に主役を張って、それまでには考えられなかったオカルトと言うジャンルに挑んだ作品。
僕個人としては大いに楽しめた。
ただ、彼女に興味が無く、恐怖やショッカーを追求する人、或いはこの時代を知らない人にとっては、なんて事の無い映画なのかも知れない。
と言うのも、俳優や舞台装置に英国ロケと、結構お金をかけているのに雑な部分が多くて、大富豪の屋敷で起こる殺人や死体の処理、主人公の心の変化などの描写があまりにも観客任せで、「ええ?」と思えるシーンや、「キャサリン、そこは突っ込まなアカンで~」と思わず関西弁でこちらが突っ込みたくなるシーンが多い。
だから、初見でこの映画を観る人と、すでに見た事がある人とでは、かなり違った感想になってしまうのだ。
僕が大いに楽しめたのは、もちろん彼女のファンであったし(『卒業』『明日に向かって撃て!』の頃からずっとね)、深夜のTV洋画劇場で見た懐かしい記憶、それと、この作品が持つ独特のムードが気に入っているからだ。
しかも今回のブルーレイにはビスタ・サイズでの収録、本来の姿で見る事が出来る。

建築家の彼女が住む、ロサンゼルスの自宅に掛かって来た電話は、彼女にイギリスで仕事をして欲しいとの依頼だった。詳しい事情はイギリスに来てから説明すると言う、極めて怪しい依頼にも疑う事無く、恋人のサム・エリオット(この共演がきっかけで、結婚したんだよ)と旅行気分でイギリスへ。
ラブストーリーのような出だしで、テーマ曲もルンルンな感じの歌が流れる。
ところが、モーターサイクルで田舎道を走っていると、飛び出してきた年代物のロールスロイスと事故を起こす。
二人は軽傷で済んだが、モーターサイクルは町で修理する事になり、その間、車に乗っていた紳士の屋敷で過ごす事になる。
この屋敷を舞台として、連続殺人と不可思議な事が次々に起こるんだが、仕掛けが遅い。
途中、異変に気付いた二人は屋敷を馬で脱走するが、何だかピクニックに行く見たいにここでもルンルン。
町でロールスロイスを発見すると、運転手の目を盗んで車を奪うが、走れど走れど何故か屋敷に戻ってしまう。
う~ん、よく見る手法だなぁ…と思っていると、僕の頭のどこかで、ひょっとしたらこの映画が、この手の演出のはしりかも知れないと言う思いが過る。
所々のシーンで、結構チグハグな演出だが、監督は後に『スター・ウォーズ:ジェダイの帰還』や、サスペンスの秀作『白と黒のナイフ』を撮るリチャード・マーカンドなのだ。
何処かぎこちないなぁ…と思っていると、この映画が監督第一作なのね。(どうりで…)
深夜のTV劇場で見た時のキャサリンの美しさが今も忘れられないが、ブルーレイと言う魔物は、彼女のシワまでもハッキリと映し出す。それぐらいのパフォーマンスで蘇った今回の『レガシー』は大画面が似合う。(恐怖も倍増だ)
英国ロック・バンド、ザ・フーのロジャー・ダルトリーも出演していて、晩餐会の席で、チキンの骨が喉に詰まって悶絶死を悲惨に演じている。(あまりにも悲惨なのに、鳥の骨って……、しかもちっこい)
また、この映画を見る度に、完成度は違うけど、何故か『オーメン』と、猫が出て来るシーンで『ヘルハウス』を思い出す。
『エクソシスト』で幕を開けたオカルト・ブームだが、この作品は末期的な作品で、ここから数年後に登場する『死霊のはらわた』によって、恐怖映画は新しい道へと進んで行く事になる。
この映画のラストだが、いつもハッピーエンドなのか否かでいつも悩んでしまうが、今回久々に見ても、やっぱりそうだった。
良くも悪くも、70年代テイスト満載の、愛する映画なのだ。
