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『アパートの鍵貸します』リセットしたい自分がいる… 

こんばんは、ロッかリアです。

ある程度長い期間、映画を見て来た人、つまり、僕と同年代の人たちは、この映画をどんなタイミングで観ているんだろうか?
昔ならTVの洋画劇場でよくオンエアされていたから、見る機会も結構あったけど、今はBSの専門チャンネルは別として、自ら進んで観ようとしない限り、この映画を観ることはないんじゃないかと、ふと疑問に感じる。
とすると、自ら進んで観る、と言う行為には、何らかの理由があるんじゃないだろうか……。
僕には明確な理由と意図がある。
観る映画観る映画がとってもつまらなく感じてきた時。これは昨今の新作映画(特にハリウッド作品を指す)全般を見て強く感じている事だ。
映画を観る、と言う行為自体が億劫になった時。
あと、何が面白いのか?どんな映画が面白いのか?分からなくなった時、この映画をラックから取り出して、デッキに入れる。
このブログの第1回目の記事に、『冒険者たち』と言う映画は僕にとってのマイルストーンだと言った。
つまり、『冒険者たち』を観て、何の感動も、涙も流さなくなった自分がいたら、もうどんな映画を観ても僕は幸せな人生を送れないと思うからだ。

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『アパートの鍵貸します』

この映画は僕に映画を観る楽しさ、素晴らしさを教えてくれる。
コメディ映画の代名詞のように言われることも多いが、人間賛歌のヒューマンな映画だと思う。
一つのアパートの鍵から始まり、その鍵があっちこっちに行き交うように、人の感情も右往左往する。
小道具の使い方が上手くて、それに見取れているうちに、次から次へと起こる出来事。
帽子、割れたコンパクト、ストローやオリーブ、テニスラケットにシャンパンと銃、年に一度のケーキやカミソリの刃、カードゲーム。そして、重役専用トイレと言う会話からも、当時の労働階級への批判が垣間見られたり、当時のアメリカが抱えていた、男女不平等、つまり男尊女卑などが、強く風刺されている。
しかも、圧倒的な、感情を揺さぶるような、ラブ・ストーリーとしても成立しているのだ。
張り巡らされた伏線の妙に、そうだったのか……と、誰もがヒザを叩き、うまい!と言う言葉が、思わず口から飛び出すはずだ。
ジャック・レモンの演技に加え、少しおバカでキュートな役のシャーリー・マクレーンが、真実の愛に目覚めていく過程を好演すると、ジャックはその愛ゆえに、男としてのプライドに目覚めて行く。好きとか嫌い、と言う単純なものではなく、いかにして人を愛し、人生と向き合うのか、そんな事が、説教じみた口調じゃなく、とてもオシャレな映画として描いているところが、ビリー・ワイルダー監督の凄いところだ。
この映画を観ると、映画を観る、と言う行為がリセットされ、面白い映画とは、どう言うものなのかを、思い起こさせてくれる。

この映画を観なくても映画は語れるだろう。
この映画以外にも、素晴らしい映画は沢山あるのだから。
でも僕は、この映画を観たこと無い人から、映画の話は、あんまり聞きたくない。
何故なら、これこそが映画だと、今でも強く信じているからだ……。


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Category: 休日は名画座で

Thread: 心に残った映画

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