『コクリコ坂から』 不思議な扉は開かない…。
DVDを80インチに投射して見ましたが、アニメはDVDでも充分鑑賞できました。(解像度はかなり落ちるけど…)
カルチェラタンと言う、文科系のクラブハウスの老朽化のために、取り壊しが決められた事に反対する学生と、お互いに好意を持ち始めた海と俊が、実は兄妹かも知れない……と言う二つを軸に進む。
アニメとは言え、東京オリンピックで沸き返る古き横浜の風景や建物に、ある程度、歳を重ねた人にはノスタルジーを感じる事が出来るが……。
この映画を見て、真っ先に思った事、それは今の若い人がこの映画を見て、何をどう感じるのか?と言う事だった。
と言うのも、『ALWAYS~三丁目の夕日』などもそうなのだが、この辺の時代を舞台にし、淡々と進む作品は、僕ら世代には郷愁も感じるが、若い人にとって、そこはどうなんだろう?
単に、昔が舞台の映画、と言う感覚なんだろうか……。
ジブリが好きだから、今回はあえて苦言を呈しよう。
この映画、ジブリの長所でもあり短所でもある「良い人が多過ぎる」が全面に押し出されているし、日常における冒険が感じられない。
ジブリと言えば、どの作品においても、不思議な扉を開けて、「日常」「非日常」に関係なく、最大級のアドベンチャーを展開する事で僕たちの心を掴んだ。
厳しい判決が下された『ポニョ』や『アリエッティ』でさえ、この不思議な扉は存在した。
が、今作に関して言えば、せっかくカルチェラタンと言う不思議な扉を見せてくれたのに、その扉は開かれなかった。(中に入れなかった、と言う意味じゃないよ)

厳しく言うなら、
まるで、NHKの朝の連ドラを見せられているような感じだった。
僕たちは、まだ、誰も見た事の無い、不思議な世界へと続く扉を、ジブリには開いて欲しいのだ。
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コメント
精一杯かも?
どうもはじめまして。通りすがりにコメントします。
前作『ゲド戦記』が愚にもつかないシドい出来だったことと比べて、本作はすごいましだ…と劇場では肯定的に評価してしまいました(それほど前作はひどかった…座席で呆然としたほど)。
それにしても、本作はほんとうに「動かない」作品ですよね。冒険はない、感情を大きく揺さぶられることもない。淡々としている。ヨーロッパ映画のようなのどかさというか。
話が破綻しないよう脚本通りになぞった、というのがせいぜいなのかなって見てしまいます。
前作がどん底で、今作がだいぶましとなれば、次回作で浮上して欲しいなぁ…と。ちょっと期待してたり。
森須 #- | URL | 2012/10/17 21:05 [edit]
Re: 森須 さん。
初めまして、コメントありがとうございます。
NHKで宮崎親子の特集番組を見た時から、「ん~、今回もイマイチなのかなぁ…」と言う予感めいたものもありました。
手堅くまとめた、と言う印象が強く、決して悪い作品ではないと思うのですが、このブログでも紹介した、『放課後ミッドナイターズ』のように、突き抜けて欲しかったと思います。
おっしゃる通り、三度目の正直を、私も期待しています。
また、お立ち寄り下さい!
ロッカリア #- | URL | 2012/10/17 23:29 [edit]
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