『配達されない三通の手紙』 技巧に頼らないミステリー
こんばんは、ロッカリアです。

【ストーリー】
ロバート・フジクラ、通称ボブと名乗る青年が、日本文化研究のためアメリカから伯父、唐沢光政の住む山口県萩の町を訪ねた。唐沢家は代々町の名家で、すみ江夫人との間に、麗子、紀子、恵子の美しい三姉妹がいる。ボブは唐沢家の離れに住むことになった。次女の紀子は父の銀行に勤める藤村と結婚することになっていたが、藤村が結婚寸前に失踪し、三年間行方不明になり、その後、紀子は自室にこもり、魂のぬけたような生活をしていた。地方検事の峰岸という婚約者がいる三女の恵子がボブの研究を手伝っている。ある日、紀子の恋人、藤村が突然帰ってきた。家族は拒絶するが若い二人は抱き合い、結婚することになり、紀子に笑いがもどった。数日後、藤村の妹、智子が萩の町にやってきた。しばらくして、紀子は藤村の本の間にあった三通の封筒を見てハッとなった。その姿を見ていたボプと恵子は、あとで、紀子の部屋に忍び込み、その手紙を見る。それらは藤村の筆跡で、智子に宛てられていた。八月十一日付の手紙は、彼の妻が病気になった知らせ、八月二十日付の第二の手紙は妻の重態、九月一日付の第三の手紙は妻の死を伝えていた……。
宛名も差出人も記載されていない三通の手紙を、紀子(栗原小巻)が最初に発見、続いて探偵役のボブ(蟇目良!)と恵子(神崎愛)が見つける。

この辺から、一気に物語はミステリーの要素が色濃くなる。
妻は夫に疑問を抱きながらも、何事も無いように普通の生活を送ろうとするが、自らの体調に異変を感じる。
それを知ったボブと恵子は積極的に調査に乗り出すが、事件は思わぬ方向へ展開して行く……。

うまい!
野村芳太郎監督は大富豪の屋敷に集う人間模様を丹念に描く事で、飛びきりのサスペンスを見せてくれる。

また、栗原小巻、松坂慶子と言う当時の売れっ子女優の演技が凄い。


栗原小巻はとても神経質な女を、松坂慶子はとてもエキセントリックな女を演じ、この二人のキャスティングがとてつもない緊張感を生み、見ているこちらまで息苦しくなる。
原作はエラリー・クィーンの「災厄の街」だが、W・アイリッシュの小説を読んでいる時に強烈に感じるサスペンスの要素が強い。
1979年の作品で、序盤は多少テンポの悪さも気になるが、ミステリー・ファンなら積極的に見る事をおススメ。
そう言えば、若い頃に、貰った沢山のラブレター、今は何処に消えたんだろうか……(ウソつけ、せいぜい三通ぐらいだろうが!)
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